ギリシア・ローマの盛衰―古典古代の市民たち (講談社学術文庫)
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ジャンル: | 歴史,日本史,西洋史,世界史
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市民から臣民へ
高校の世界史の授業では、主要人物の名前を暗記するだけに終わってしまった感が強いので、本書で改めて古代ギリシア・ローマ史を勉強しなおした次第である。政治や経済、文化の表面的出来事に終始するだけでなく、自然環境や市民の意識にまで言及している。都市国家が広域国家となるにつれ、政治制度も直接民主制から帝政に変容していく様がよく描かれていると思う。
やや古いが大局的
古典古代(古典期ギリシア・共和政期ローマ)市民を、都市国家の歴史的な発展と関連させつつ、日本人の立場から一つの人間類型として論じようと、1907?29年生まれの3人の西洋古代史家(故村川中心)が、1967年に刊行した本の文庫本化。第一期は、古典古代の自治的・戦士的・祭祀的市民共同体=都市国家の生成・発展(村川)を、第二期は、市民団の自由・自治の崩壊と世界帝国ローマの成立(長谷川)を、第三期は、帝国臣民の世界とキリスト教国教化の過程(高橋)を扱う。本書の特徴としては、第一に地中海地域の風土から論を起こしていること、第二に西欧古代史全般を扱う通史であること(ただしヘレニズムは軽く扱う)、第三に地中海地域の一体性を意識して、ギリシアとローマを共時的に扱っていること、第四に重装歩兵密集隊戦術の成立とポリスの民主化との関連性の重視、第五に都市国家の支配権の拡大と市民の階層分化が、市民共同体としての都市国家を形骸化するという視点、第六にローマ市民権の拡大にもかかわらず、代議制の考えが生まれず、あくまで都市国家の直接民主政のフィクションの上に大帝国が成立したこと、そのため法・制度を超えた私的恩顧関係が大きな意義を持ったことの重視、第七に皇帝=元首が元老院の筆頭でありつつ、法を超越した命令権・職権を行使し、やがて臣民の犠牲(自給自足的経済体制への移行)による官僚機構の整備(特に東部)、職業的軍隊の地域化に伴う内乱の収拾により、専制君主へと移行することの指摘、第八に都市国家体制の形骸化と皇帝権の強化を背景として、キリスト教普及の基盤が整えられ、皇帝がカトリック教会を通じて統一的な礼拝を企図したことの指摘、第九に刊行年次を反映して、世界史的という大仰な形容や、民族・暗黒時代といった用語の頻用が見られることが挙げられる。
最も手頃なギリシア・ローマ史の入門書
近年さまざまな古代ギリシア・ローマ史に関する一般書が書かれているが、本書は三十数年前に執筆されたというのに、決して現在の類書に引けを取らぬ良心的な作品です。文庫本で読める西洋古代史の入門書としては、教養文庫の「世界の歴史・2;古代ヨーロッパ」、および最近文庫版になった中央公論社の世界の歴史・2「ギリシアとローマ」(村川堅太郎・編)と並んで傑出した良書と申せましょう。ただし、固有名詞の母音の長短が曖昧であったり、アテーナイをアテネとするなど表記の上で若干の問題はありますが、初心者にはあまり気にならないかと存知ます。
講談社
1665 古代ギリシアの歴史 ポリスの興隆と衰退 (学術文庫) トロイア戦記 (講談社学術文庫) カエサル (講談社学術文庫) ガリア戦記 (講談社学術文庫) 古典ギリシア (講談社学術文庫)
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